家づくりのコンセプト

「庭師が家をつくる」というと不思議に思う方もいるでしょう。庭師の仕事は、造園や庭木の手入れだけではありません。庭師とはその土地全体を把握し、そこにふさわしい空間（庭）がどういうものなのかを提案する…いわば空間全体のコーディネーターであると思っています。私たちは「家づくり＝空間づくり」と捉え、お客さまと建築士とをつなぎながら、空間全体を含めた家づくりをしていきたいと思っています。

庭師の仕事はまず、お客さまのお話を聞くことから始まります。お客さまには園芸がお好きな方もいれば、お手入れが苦手な方もいます。あるいは、もっと子どもが遊べるようにしたい…など、さまざまなご要望をお持ちです。どのような空間をつくるのか、お客さまの目を見て、暮らしを見て話し合う、それが庭師の仕事です。私たちはそんな庭師の視点で家づくりができないかと、ずっと考えてきました。

「家を建てたい」と願うお客さまと、庭師がスタートから一緒に考えていく、それが『庭乃家』のコンセプトです。お隣の庭がそばにあれば、その庭を借景に…裏にうっそうと木が茂る山があるのなら、その山の自然を庭の一部に取り込む…。家を建ててから庭を考えるのではなく、家も庭も同じ空間であることを前提に家づくりを進めていきたいと思っています。

『庭乃家』は、庭師や建築士、大工、左官といったプロの職人の手仕事によって生み出されます。自然素材を大切にする家というのは、素材を一つ一つ選んでいくため、同じ家は二つとなく、完全オーダーメイドになります。庭師による造成や石組み、土壌改良などの敷地づくり、プロの丁寧な仕事によって完成される家は、どこよりもそこに暮らす人の思いが詰まった居心地のよい空間になると、私たちは信じています。